JOURNAL

遠州織物×久留女木の棚田プロジェクト

『 日本製の極限に挑む“遠州織物” 』
      ×
『 維持と景観を守る“久留女木の棚田” 』

の、壮大なプロジェクト。

遠州織物を中心に服づくりをしている
浜松発のブランドHUISさんと、
引佐町にある久留女木(くるめき)の棚田の
『竜宮小僧の会』がタッグを組みました。

HUISさんの
“All made in Jagan”に
掛ける想いから、スタートしたプロジェクト。

「糸になり」
「布になり」
「服になる」
という、
服を作るという流れ。

これを国内で、
全て作ろうという
超難易度の高い計画です。

産業レベルの量と品質を、
すべて日本で作るのは
“不可能”だと言われています。

なぜなら、
日本の綿花自給率は0%。

古橋織布で織っている糸も
世界中から仕入れた綿花からできています。

今年の春、
『浜松で育てた綿を使って、洋服ができないですかね?』
と、HUISさんから壮大な計画の
お話をいただきました。

綿を育てるために必要な
膨大な土地、気候や風土の違いから、
100% 浜松産の綿花で
綿糸を作ることは極めて困難。

それなら、
ほんの一部だけでもいいから
浜松産の綿を使って、シャツが作りたい!
と動きだした、夢のような計画。

それでも、糸にするだけでも
たやすいことではありません。
良い糸ができたあかつきには、
古橋織布も“織り”で
参加させていただくことになりました。

この計画と、綿花栽培を
一手に引き受けてくださったのが、
久留女木(くるめき)の棚田の
「竜宮小僧の会」の皆さん。

浜松市引佐町の棚田で、
大河ドラマの井伊直虎のロケ地としても使われ、
柴咲コウさんが田植えで訪れたことでも話題になりました。

戦国時代、井伊家により
山の斜面をけずり開墾された、階段状の田んぼで
今でも、井伊家家臣の末裔に守られています。

階段状の田んぼには、
機械が入らず、
耕すのも、植えるも手作業。

水を引けない立地で
水やりも、山からの湧き水を使う
自然頼り。

また、後継者不足や少子化などの問題で、
棚田の一部が放置され、耕作放棄地化も
問題となっています。

お互いの課題や目標が見事にマッチして
実現したプロジェクト。

そして、今年の5月、綿花栽培を開始しました。

9月中旬には、
古橋織布のスタッフで
収穫体験に行ってきました。

そして、直接お話しを聞いたり
調べていくうちに
久留女木の棚田の保全は、古橋織布にとっても
他人事ではないなと。。

江戸時代から農家の副業として、
綿織物が盛んになり発展したのが遠州織物。

古橋織布の古いシャトル織機を
扱う手間暇と、生産効率が悪いところ。
遠州織物の後継者不足が
あとを絶たない問題とも重なり、
勝手に共感していました。

生産者が手間暇かけた愛情が、
「糸になり」「生地になり」「服になり」
みなさんの手元に届く。

順調に綿が育ち、良い糸ができることを祈り、
古橋織布で織れる日がくるのが待ち遠しいです。