じつは、『サスティナブル』な 会社なんです。
近年、『サスティナビリティー』
への関心が高まり、ふだんの生活においても、
見聞きするようになりました。
じつは、古橋織布でメインで使っている
この「シャトル織機」は、
一般的に服地を織るのに使われる
『高速織機』に比べて、消費電力が少なく、
“ 省エネルギー ”だと言われています。
古橋織布にあるシャトル織機は20台。
すべて、40~50年前のもの。
近代織機と違って、コンピューターも
ついていないし、何もかもがアナログです。
今は生産されていない貴重な織機を
長年、職人たちの手によって
代々、受け継いできました。
シャトル織機は、メンテナンスが『肝』なんです。
小さなモーターひとつで稼動し、
歯車などを伝って、すべての部品が連動しています。
織機の部品は、主には鉄製。
鉄は、日々繰り返し続けることで、
摩耗して痩せたり、負荷がかかってヒビが入ったりします。
そうなると、上手く織れなくなり
生地に傷ができてしまったりと不具合が発生します。
部品を取り換えようにも、
すでに、生産されていないシャトル織機には、
新しい部品もありません。
部品のほとんどが中古品。
専門業者さんに注文して、
中古品を探してもらいます。
再利用が当たり前の世界です。
部品の入れ替えや、織機の微調整など
ひとつとっても、職人の技術力がなくては
正しく動かない『シャトル織機』。
織機を扱う技術もまた、織機と同じように、
代々受け継がれてきた宝物です。
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生地になる前の“糸”も『ECO』な素材を
厳選しています。
古橋織布で扱う素材は、天然素材がメインです。
主には『綿』。
そのほかに、
『リネン』『ヘンプ』『ウール』『シルク』などを
あつかっています。
農作物と同じように、自然の中で生まれ育ち、
地球に還る“環境にやさしい天然素材”。
その中でも、あまり知られていない
面白い『ECO』な素材があります。
たとえば、お客さまに
長年愛され続けている「バンブーレーヨン」という糸。
バンブーレーヨンは、竹(バンブー)から作られた糸です。
バンブー(竹)は、
『破竹の勢い』と呼ばれるように
2~3年で急激に成長します。
そのため、手入れが追いつかず
荒れた竹林が増え、「竹害(ちくがい)」が
大きな課題となっています。
近年、
竹を破棄するだけではなく、
再利用する活動が増えていますが、
古橋織布では、バンブーパルプという原料から、
再生繊維の"バンブーレーヨン"に生まれ変わった糸を使い、
バンブーリネンやバンブーコットンなどの
生地を作っています。
竹に限らず、綿や麻などの
天然繊維の織物にこだわるのは、
肌ざわりがよく心地いい質感、
そして安心して着られる素材だからです。
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ECOな理由はまだありますよ。
古橋織布で織っている生地は
全て注文をいただいてから織り始めています。
「これ売れそう?」
「とりあえず織ろう」
ということが、まずありません。
なので、織った生地は、
全てお客さまに届き、洋服やカバンなどに
生まれ変わります。
必要な時に、
必要な分しか作りません。
日本人にとっては当たり前の
「もったいない」という心。
古橋織布でも、自然と織り屋なりの
地球にやさしい取り組みをしています。
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遠州織物を守るため、
サスティナブルな地域交流も
欠かせません。
江戸時代から綿の産地で
繊維業が発展してきた遠州産地。
しかし、
後継者不足や海外輸入品の影響など
さまざまな理由で
関連企業の廃業があとを絶ちません。
創業して95年もたつ古橋織布ですが、
ここまで残れたのは、
遠州産地で育まれ、代々受け継がれてきた技術と
思いがあったからです。
遠州という地域の関わりがあり、
古橋織布に関わるすべての職人の
経験や努力があったからこそ、
ここまで続いたんだと思います。
織物には、たて糸の準備を行う「整経」や、
織りやすさを左右する「糊付け・サイジング」、
織り上がった生地の風合いを決める「染色・整理加工場」などの
協力会社が必要不可欠なんです。
糸の準備から仕上げまで
遠州で完結することで、
雇用や地域活性化に繋がります。
地場産業を受け継ぐことで、
“遠州のまちづくり”を
一緒に築き上げているんです。
これが、今わたしたちができる、
古橋織布なりの「サステナビリティ」だと思います。
(「つくるまち、つなぐまち。ー遠州産地ー」、Hamamatsu BABY BOX PROJECT 企画、Looks 制作)