【 ORIYATO - vol.1 パタンナー 綾織さん × 縫製 アンジーズさん編 - ep.1 】 布を余らせないブラウス
布を織る「織屋(おりや)」が
いろいろな道のプロフェッショナルと
一緒に考え、つくり上げる
新しいプロジェクト。
【 ORIYATO 】= 織屋と。
織屋と歩み、
織屋と作り上げる、
を、意味しています。
いろいろな視点から、
古橋の布を使って
新しいものを創造していきます。
そして、
早くもORIYATOコラボ『第4弾』。
個人でも活動されている
パタンナー 綾織(あやおり)さんに
お願いすることに。
きっかけは、
昨年10月のハタフェス。
ORIYATO第一弾の『機屋パンツ』で
おなじみの矢野さんと
一緒に遊びに来られていました。
山梨県富士吉田市で
毎年10月に開催される
『ハタフェス』。
綾織さんともそこで初めてお会いし、
その場で、
中肉の高密度なシャツ生地
『パラシュートクロス』を
購入されました。
その後、
古橋織布に工場見学に来られた際、
購入されたパラシュートクロスで作ったブラウスを
着用されていました。
綾織さん:
古橋さんのシャトルで織った生地を
"余すことなく使いたいと思って
考えたブラウス" です。
と。
愛情たっぷりに考え抜かれた
デザインで、すっかりブラウスの
虜に。
ファッション業界は、基本的に
ブランドのデザイナーさんが『主軸』。
私たち織り屋もパタンナーも
ブランドやデザイナーさんを
支える『裏方』です。
デザイナーさんの要望どおりに
パタンナーがパターン(設計図)をつくり、
織屋は展示会で素材提案をしたり、
新しい織物を開発するのが仕事。
全ては、
デザインあり気で
パターンを作り、
素材を選び、
服を作るのが一般的な流れ。
なので、綾織さんの
『布を余すことなく考えて作ったブラウス』は、
まるで真逆の発想なんです。
まさに、古橋織布の生地あり気で
考えられたパターンとデザイン。
こんなことありますか?
嬉しすぎますよね。
さらに、
マニアにはたまらないポイントが、
シャトル織機の「耳」まで
使った特徴的なデザインになっています。
あえて、生地をタテヨコ逆にして
ブラウスの裾に布の端っこ(耳)が
くるように考えられています。
シャトル織機で
織り上げた生地は
風合いの良さはもちろんのこと、
耳まできれいに使えるのも
最大の魅力のひとつ。
ほかの織機で織ると
耳は『フリンジ状』になるのですが、
シャトル織機だと
ヨコ糸はきれいに織込まれるので
糸の端がでず、耳までまっすぐ
キレイに仕上がります。
ですが、
流行に大きく左右される
ファッション業界において、
なかなか耳まで計算して
デザインを考える
デザイナーさんはいません。
リーバイスなどのデニムパンツなどでは、
セルビッジデニムと言って、
耳まで使われているのをよく見かけますが、
シャツなどのトップスでは、
ありえません。
なので、このブラウスは
織り屋としては、めちゃくちゃ
衝撃的で新鮮なデザイン!!!
ヨコ糸を運びながら
端から端に、
行って返ってを繰り返す
シャトル織機。
耳は負担がかかりやすく
糸も切れやすくもなるため、
糸の通し方を変えたり、
テンションを調整したりと
耳まで使わないと分かっていても、
職人は隅々まで細心の注意を
払っています。
だから、
布を作る視点で
このブラウスをみると面白い。
布が織り上がり、加工後にテンターという幅出しの
機械にかけられる。
その時の「針穴」も布の端っこに残っている。
これはいい!面白い!欲しい!
と絶賛していると、綾織さんから
『よかったら、ブラウス作りましょうか?パターンも使ってください。』
と。
後日、お言葉に甘えて
超極細の糸を扱った
『先染め100単タイプライター』と、
ボタニカル・ダイで染め上げた
『オーガニックコットンボタニカル・ダイ タイプライター』
の異なる2素材でお願いし、
すぐに作っていただきました。
そして、着用してみると、
生地もデザインもとっても良くて、周りからも好評!
こうしてはじまった
綾織さんとのコラボ企画です。
次回の投稿もお楽しみに。
なお、今回ご紹介した
『綿ボイルパラシュートクロス』
『先染め100単タイプライター』
『オーガニックコットンボタニカル・ダイ タイプライター』
の3種の生地は、すでにオンラインで販売しています。
裁縫が得意な方は、
耳まで使ったデザイン、
ぜひ参考にしてみてください。
ちなみに、
『綾織-あやおり-』さんという
名前はフリーで活動されている個人の屋号。
本名の綾乃さんの『綾』と、
『織り』を掛け合わせて
名付けられたそうです。