【 ORIYATO - vol.4 パタンナー 綾織さん × 縫製 アンジーズさん編 】 - ep.5 シンプルがゆえに、高度な縫製
布を織る「織屋(おりや)」が
いろいろな道のプロフェッショナルと
一緒に考え、つくり上げる
新しいプロジェクト。
【 ORIYATO 】= 織屋と。
Vol.4 パタンナー綾織さん×縫製工場 アンジーズさん編
今日は、第5回、
「シンプルがゆえに、高度な縫製」
について、伝えたいと思います。
「襟もと」「カフス」「本体」と
パーツは3つだけの、セルビッジブラウス。
正直、素人目には
「縫うところが少ないから、縫製は簡単そう。」
と、思いました。
ですが、このブラウス。
布を余すことなく使いたいため、
最小限にパーツを減らしています。
シンプルがゆえに、
縫製がむずかしいそうです。
まずは、『襟もと』。
パターン設計が、巧妙に考えられています。
丸くくりぬかれたデザインが、
ほどよく鎖骨が見え、
顔周りをすっきりと見せてくれます。
縫製は、
襟もとのパーツに芯を貼ってから、
縫っていきます。
柔らかい生地のため、芯を入れないと、
襟もとが“ぺろ~ん”と
前に倒れてしまうからです。
アイロンで芯を貼り、
次に生地の端を折り、
クセをつけながら慎重に
進めていきます。
楕円形でも難しいのに、
鋭いV字の襟もとは、
よりハードルを高くさせます。
もちろん、縫うのもひと苦労。
そもそも、
ミシンは、まっすぐ縫うよりも、
丸く曲線を縫う方が
圧倒的に難しい。
この襟を、ミシンが進むままに
一周ぐるっと真っ平に縫うと、
生地の逃げ場がなく、
ゆがんだり、ねじれてしまします。
生地を内側に入れ込むように意識し、
細心の注意を払いながら、
ミシンをおくります。
さらに、高密度な生地は、
伸び縮みしないため、
融通が利きません。
一般的な生地よりも、
ずれやすく、ねじれやすいことも
あります。
そうは言っても、
一番最初に、目がいくのは襟もと。
わずかなズレも許されません。
難易度が高いため、
アンジーズさんの中でも、
ベテランの縫製士さんが
担当されました。
難しいところは、まだまだ。
『袖口(そでぐち)』の特徴的な
タックも、難航しました。
9本のタックを作り、
袖をすぼませているデザイン。
着ると、このタックが
いいアクセントになります。
タックを1本ずつ
順番に縫っていきますが、
9本もあると、一つ一つの微妙なズレが、
最終的には大きなズレに繋がります。
練習をしてから本番に挑みましたが、
袖口が左右5mmも違ってきたりと、
縫い直すこともあったよう。
「シンプルがゆえに難しいデザインで、
アンジーズにとっても良い経験になりました~」
と、縫製士さんがおっしゃってくださいました。
そして、今回このブラウスの
デザインを考えられた
綾織さんにも
いろいろとお聞きしました。
綾織さんは、プロのパタンナーさんです。
デザイナーさんの要望どおりに、
パターン(設計図)をつくり、
服作りを支えている裏方さん。
織り屋と同じで、表立って
前に出る機会はありません。
休日に、全国の産地を巡り、
職人から後継者不足の問題を
直接聞き、
「産地を守りたいけど、
どういう形で応援したらいいのか。。」
と、糸口をさがしていたところ、
今回のORIYATOに発展。
シャトル織機で織る生地は、
風合いが格別で希少だったり。
織るのには時間がかかり、
職人の熟練の技も必要なことを知り、
「シャトル織機らしい“生地の耳(端)”も、使いたい!」
と、このセルビッジブラウスが生まれました。
綾織さんのオリジナルデザインが
商品となり、世の中に出るのは
今回が初めてだそうです。
デザインを考えてから
パターンを作るのではなく、
この生地ありきで
開発されたデザイン。
長年の知識と経験のもと、
プロのパタンナーさんだから
作れるブラウスです。
一見、シンプルなブラウスですが
それぞれの工程で、
さまざまな人の想いが込められています。
生地を織る人もいれば、
パタンナーや縫製士もいます。
好きな仕事を続けていくには、
“楽しさ” だけでは続きません。
“成長” や “やりがい” だって必要です。
今回のORIYATOで、
分野のちがう、裏方どうしが集まり、
1枚のブラウスが完成しました。
日本の『生地産地』や『縫製技術』
を守りたい「綾織さん」。
日本の『縫製技術』を若い方に繋げていきたい「アンジーズさん」。
日本の『産地の存続』のために奮闘する「古橋織布」。
裏方で働く人たちの想いも、
表立って発信し、
セルビッジブラウスをとおして、
知ってもらえたら嬉しいです。
次回は、
使用した生地の紹介と、
できあがった2色のブラウスの
着回し方をご紹介します!
———セルビッジブラウス 発売日🎉———
📍10/18(金)~
オンラインで、先行販売スタート!
📍10/19(土)~
富士吉田『ハタフェス』で
店頭販売します。
お値段は、税込27,500円です。
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